ドーム兄弟 スミレをあしらった希少なディアボロ形のスミレの装飾花瓶 アール・ヌーヴォー時代
ドーム・ナンシーが描く「春の訪れ」 アール・ヌーヴォーの巨匠ドーム・ナンシーにとって、「スミレ」は特別な花でした。控えめながらも力強く咲くその姿は、当時のフランス人にとって謙虚さと深い愛の象徴であり、ドーム兄弟はこれをガラスというキャンバスに見事に昇華させました。本作は、31cmという堂々たるサイズに「ディアボロ(円錐を二つ繋げた形)」と呼ばれる独創的なフォルムを組み合わせた、市場でも滅多に見ることのできない希少なピースです。 1. 技法:酸の彫刻と、脈打つ「金」の装飾 本作の美しさを際立たせているのは、ドームの代名詞である「酸化腐食彫り(アシッド)」と「エナメル彩」の融合です。 背景の乳白色から青へと移り変わるグラデーションは、早春の冷たくも澄んだ空気を想起させます。そこへ、アシッドによって立体的に彫り上げられたスミレの葉。特筆すべきは、葉の脈(ネルヴュール)に一点一点施された繊細な金彩(Dorure)です。 このひと手間が、可憐なスミレに貴族的な気品を与え、光を浴びた際に作品全体を内側から輝かせる因果関係を生んでいます。 2. フォルム:躍動感あふれる「ディアボロ型」 フランス語で「ディアボロ(独楽)」を意味するこの形状は、底部から中央にかけて一度絞り込み、口縁部へ向かって再び大きく広がるダイナミックな造形が特徴です。 一般的な円筒形の花瓶と比べ、制作には高度な成形技術を要します。このフォルムが、スミレの茎が地面から空へと伸びていく生命力をより強調し、31cmという高さを活かした圧倒的な優雅さを空間にもたらします。 3. 歴史とサイン:完璧なる保存状態 底部には、正真の証である「Daum Nancy / ǂ(ロレーヌ十字)」のサインが記されています。 1900年前後のアール・ヌーヴォー全盛期に制作された本作は、120年以上の時を経ているにもかかわらず、エナメルの剥げやチップ(欠け)のない「Parfait état(完璧な状態)」を保っています。これは、歴代のコレクターがいかにこの作品を大切に扱い、文化財として守ってきたかを物語る「目に見えない価値」でもあります。 サイズ 直径 14 cm 高さ 31 cm 状態 目立つ大きな欠け、割れ、傷なく基本的良好な状態です。
Variants (1)
- Default Title — 3400000.00 JPY — In stock
AI Readiness
Good foundation, but some important product data is still missing.