ある経理部将校の戦争日記 侵略と植民の意識の記録
正誤表 後方支援の責任にいた会計部将校の日常から戦中の日本人の〝帝国”意識を考察 戦争は、前線だけで起きていたのではない。 古希を迎えた著者のもとに届いた一箱の遺品としてセピア色の写真とともに現れたのは、昭和18年、戦時下の日々を綴った父の小さな日記だった。 そこに記されていたのは、銃を手に戦う兵士の記録ではない。 物資や人員を支える“経理部将校”として戦争に関わった、一人の男の現実である。 兵站、補給、管理。 戦争を成立させるもう一つの現場。そこには、戦闘とは異なる葛藤と、見過ごされてきた「加害の構造」が静かに刻まれていた。 不器用な文字を読み解くうちに浮かび上がるのは、父という個人の姿だけではない。 語られなかった戦争、直視されなかった侵略と植民の意識、そしてそれらを抱えたまま戦後を生き抜いた人々の沈黙である。 やがてその影は、家庭へと入り込む。 戦争は形を変え、次の世代へと連鎖していく。 本書は一冊の日記を手がかりにした「個人の記録」であると同時に、日本という国が抱えてきた記憶の空白に光を当てる試みであり、いまを生きる私たちへの静かな警鐘でもある。
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