Rörstrand “Sarek”
Olle Alberius(1926–1993)による、Sarek(サレック)シリーズの花器「E9」です。 これは花器か、それとも未来の遺物か 円筒形の筒。口縁と底部を白く縁取られた、静かな質量をもつ炻器。けれども、このグレイの器が放つのは、花を生けるためのやさしさではありません。縦方向に刷毛目が走るグレイの釉薬は、鈍い光沢を帯びて金属めいた冷たさをたたえ、そこに刻まれた同心円と円環の幾何学模様が、まるで送信機か、計器の文字盤のように浮かび上がります。 アルベリウスはここで、花器という機能から意識的に逸れてみせたのではないか——そう思わせるほどの潔さです。機械的な無機質さと、手仕事の有機的な揺れ。そのふたつが拮抗する地点で、この器は「用途」を超えたひとつの造形作品として屹立しています。見れば見るほど、これでしかありえないかたち。他では決して出会えない、アルベリウスならではの境地です。 グレイの釉薬と手描きの線がつくる緊張 このグレイは、いわゆる陶器のグレイとは少し違います。青みにも茶味にも寄りすぎず、ただひたすらにニュートラル。工業製品の筐体を思わせるその色調は、1960年代のスウェーデンでモダニズムがインダストリアルデザインと深く交わっていた時代の空気を感じさせます。 けれど、そこに引かれた線はまぎれもなく人の手によるもの。同心円のわずかな歪み、小円の連なりが刻む不規則なリズム、交差部のかすみ——「HANDMALAD(手描き)」の刻印が示す通り、幾何学の厳格さをほんの少しだけ外して、あたたかな息を吹き込んでいます。冷たさとぬくもりがひとつの器の上で静かにせめぎあう、その緊張をまるごと楽しめる一本です。 作家: Olle Alberius(1926–1993) シリーズ: Sarek(サレック) 作品名: E9(花器) メーカー: Rörstrand(ロールストランド) 制作年代: 1963–1971年 素材: 炻器(ストーンウェア)、手描き線刻装飾 サイズ: φ9cm × h22cm コンディション: 良好(Very Good) 良い状態です。軽い経年感やスレがありますが、全体の印象を損なうものではありません。外面の縦方向の色ムラや刷毛目は製造時の手仕事による表情で、損傷ではありません。口縁と底部の白色部分は意匠であり、剥離等ではございません。 ※部屋に飾られている写真は、実際の作品写真をもとに生成AIで作成した展示イメージです。作品そのものの形状・質感・状態は、商品写真をご確認ください。
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